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2026年9月11日

秋のお彼岸とは?|2026年は9月20日から26日。「彼岸」は向こう岸を思う七日間のこと

秋のお彼岸とは?|2026年は9月20日から26日。「彼岸」は向こう岸を思う七日間のこと

2026年の秋のお彼岸は、9月20日(日)から26日(土)までです。

真ん中の9月23日(水)が秋分の日。今年はその手前の21日が敬老の日、あいだの22日が休日になるので、土日が休みの人にとっては19日から23日までの5連休になります。

お彼岸と聞くと、お墓参りやお仏壇のことを思い浮かべて、少し身構える方もいるかもしれません。でも、もとをたどると、これは「向こう岸」を思う七日間のことです。言葉の意味と、暦の仕組みと、おはぎのこと。そのくらいを知っておくだけで、今年の連休が少し違って見えるはずです。

この記事でわかること

  • 「彼岸」という言葉が、そもそも何を指しているのか
  • お彼岸の七日間は、どうやって決まるのか
  • 秋分の日は「昼と夜が同じ長さ」?——じつは少しだけ違います
  • いちばん古い記録と、日本独自の行事とされる理由
  • おはぎとぼたもちは、同じもの?
  • 今年できる、いちばん小さなお彼岸

「彼岸」は、向こう岸のこと

まず、言葉をほどいておきます。

彼岸(ひがん)は、文字どおり「かの岸」=向こう岸という意味です。仏教の言葉で、古代インドの言葉サンスクリットのパーラミター(波羅蜜・はらみつ)を「到彼岸(とうひがん)」、つまり「向こう岸に到る」と訳したことに由来するとされます。

向こう岸があるなら、こちらの岸もあります。私たちがいま生きている、迷いや悩みのある側を此岸(しがん)と呼びます。

川をはさんで、こちらと向こう。その向こう側に、亡くなった人たちや、たどり着きたい穏やかな場所を思い描く——お彼岸の土台にあるのは、そういう遠くを見るような感覚です。

七日間は、秋分の日を真ん中にして決まる

お彼岸の期間は、秋分の日を「中日(ちゅうにち)」として、その前後3日ずつ、合わせて7日間です。春分の日を中心にした春のお彼岸もあるので、1年に2回あります。

2026年に当てはめるとこうなります。

  • 彼岸入り:9月20日(日)
  • 中日(秋分の日):9月23日(水)
  • 彼岸明け:9月26日(土)

秋分の日は毎年同じ日ではありません。国立天文台が天体の動きから計算して、前の年に発表しています。2026年の秋分は9月23日の9時05分。祝日の日付が天文の計算で決まる、というのは少しおもしろいところです。

ちなみに「秋分を真ん中に前後3日」という今の決め方になったのは、江戸時代後期の天保暦(てんぽうれき)からで、それ以前の暦では数え方が少し違っていたそうです。

昼と夜は、ぴったり同じではない

秋分の日は「昼と夜の長さが同じになる日」と習った方も多いと思います。

国立天文台の説明によれば、秋分のころ太陽はほぼ真東から昇り、ほぼ真西に沈みます。ただ、昼と夜の長さはぴったり同じにはならず、昼のほうが少し長いのだそうです。

理由は二つあります。日の出と日の入りは「太陽の上の端が地平線にかかった瞬間」で決めるので、そのぶん昼が長くなること。そして大気が光を曲げるため、地平線近くの太陽は実際より少し浮き上がって見えること。国立天文台の例では、2020年の春分の日の東京で昼が12時間8分、夜が11時間52分でした。

「ほぼ半分ずつ」くらいに覚えておくのが、いちばん正確です。

真西に沈む夕日と、西の彼方

太陽がほぼ真西に沈むこの時期と、お彼岸を結びつける説明がよく聞かれます。

仏教、とくに浄土の教えでは、阿弥陀仏のいる極楽浄土は西の彼方にあるとされてきました。まっすぐ西へ沈んでいく太陽を拝み、その遠い場所に思いをはせたのが彼岸の始まりだ——という説明です。

ただしこれは、「そう説明されることが多い」という性格の話です。民俗学では、仏教が入ってくる以前からの太陽への信仰や、ご先祖をまつる習慣が土台にあったのではないか、という見方もされています。起源については諸説あるところです。

いちばん古い記録は、806年

文献でたどれる最初の記録は、平安時代初めの歴史書『日本後紀(にほんこうき)』にあります。

延暦25年(806年)、朝廷は全国の国分寺の僧に、春分と秋分を中心とした前後7日間、『金剛般若波羅蜜多経(こんごうはんにゃはらみったきょう)』というお経を読むよう命じました。これは、非業の死をとげた早良親王(さわらしんのう・のちに崇道天皇と追称)の霊を慰めるためだったと伝えられています。

そしてお彼岸の行事は、インドや中国の仏教には見られない、日本独自のものとされています。仏教の言葉を名前にしながら、中身は日本の暦と暮らしのなかで育ってきた行事、ということです。

法律に書かれた、秋分の日の意味

秋分の日は、法律で決められた国民の祝日です。祝日法には、それぞれの祝日の趣旨が一文ずつ書かれていて、秋分の日はこうです。

祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。

お彼岸の中日は、国の決まりのうえでも「亡くなった人を思う日」になっている、というわけです。

ついでに今年の連休の仕組みも。祝日法には、前の日と次の日がどちらも祝日なら、そのあいだの日も休日にするという決まりがあります。2026年は21日(敬老の日)と23日(秋分の日)にはさまれて、22日が休日になりました。9月にこの形の休日が生まれるのは2015年以来です。

おはぎとぼたもち、同じもの?

お彼岸のお供えといえば、あんこで包んだおはぎ。春のお彼岸にはぼたもちとも呼ばれます。

一般には、どちらも基本は同じお菓子で、季節によって名前が変わると説明されます。

  • ぼたもち——春に咲く牡丹(ぼたん)から。春のお彼岸に
  • おはぎ——秋に咲く萩(はぎ)から。秋のお彼岸に

萩は秋の七草のひとつで、ちょうど秋のお彼岸のころに小さな紅紫の花をつけます。

さらに、夏と冬にも呼び名があるといわれます。夏は夜船(よふね)、冬は北窓(きたまど)。お餅のように杵でつかないので、「いつついたかわからない」=夜の船はいつ着いたかわからない、北の窓からは月が見えない(つき知らず)——という言葉遊びから来ている、と説明されます。

秋のおはぎはつぶあん、春のぼたもちはこしあん、という区別を聞くこともありますが、これは一説で、地域や家によってまちまちです。いまは厳密に分けないことのほうが多いようです。名前の話も含めて、「そう言われている」くらいの気持ちで楽しむのがちょうどいいと思います。

今年できる、いちばん小さなお彼岸

お墓参りに行ける人は、もちろんそれがいちばんです。でも、遠くて行けない人も、特定の宗教を持たない人も、お彼岸に加わる方法はあります。

夕方、西の空を見る。秋分のころの太陽は、ほぼ真西に沈みます。自分の部屋のどちらが西なのかを確かめるだけでも、ちょっとした発見があります。

おはぎをひとつ買う。9月のおはぎは、萩の名前をもらったお菓子です。誰かに供えても、自分で食べても。

誰かのことを思い出す。祝日法の一文は「なくなった人々をしのぶ」。しのぶ、は思い出す、ということです。道具も場所もいりません。

おわりに

彼岸は、向こう岸。此岸は、こちらの岸。

昼と夜がほぼ半分ずつになるこの七日間、夕日はまっすぐ西へ沈んでいきます。千年以上前の人も、同じ方角を見ていました。

今年の連休のどこかで、少しだけ向こう岸のほうを見てみる。それだけで、お彼岸にそっと加われます。