意味
「無事」は、ここでは「何も起きない」という意味ではありません。外に向かって悟りや答えを求めて走り回ることをやめた状態、と解されます。そういう人こそが「貴人」、尊い人だ、ということです。「何もしないのが偉い」という意味ではない、と注意されることの多い禅語です。
出どころ
唐代の禅僧、臨済義玄(りんざいぎげん)の語録『臨済録(りんざいろく)』に見えます。「無事是れ貴人、ただ造作することなかれ、ただこれ平常なれ」と続きます。作り事をするな、ふだんのままでいろ、という流れの中のことばです。
今日の暮らしで
資格や肩書き、人の評価を追いかけて疲れたときに。欲しいものがあるのは自然ですが、「足りていない自分」を前提に走りつづけているなら、一度止まってみるためのことばです。
参考にした資料
- 『臨済録』示衆
このページは禅の教義を解説するものではなく、ことばが一般にどう読まれているかを紹介するものです。解釈は宗派や指導者によって異なります。