意味
「文字を立てず」。真理は文字や言葉では伝えきれない、という禅の根本的な立場を表すことばです。経典を否定するのではなく、文字にとらわれすぎてはいけない、言葉を読んだだけでわかった気にならない、という戒めとして読まれます。禅語を紹介するページとしては、少し耳の痛いことばでもあります。
出どころ
禅宗の四聖句のひとつで、「教外別伝(きょうげべつでん・経典の外に別に伝える)」と対で語られます。よく引かれるのが「拈華微笑(ねんげみしょう)」の故事です。釈迦が黙って花をひねって見せ、弟子の迦葉(かしょう)だけが微笑んだ。心から心へ、言葉を介さずに伝わった、という話で、『無門関』第六則にも収められています。ただし、この故事の典拠とされる経典は後世の作とする見方が一般的です。
今日の暮らしで
このページを読んで「なるほど」と思ったら、そこで一度閉じて、五分だけ坐ってみる。言葉で理解したことと、体で感じることは別のものだ、というのがこのことばの言い分です。
参考にした資料
- 禅宗四聖句
- 『無門関』第六則(世尊拈花)
- 全国坐禅会マップ「心に響く禅語20選」 https://zazenmap.jp/articles/zen-words/
このページは禅の教義を解説するものではなく、ことばが一般にどう読まれているかを紹介するものです。解釈は宗派や指導者によって異なります。