意味
「際」は境目、「断」は断ち切る。前の瞬間と後の瞬間を切り離し、いまこの一瞬に全身で向き合うことを表すことばです。過去の失敗への引きずりや、先のことへの心配を、いったん切って置く、という使われ方をします。
出どころ
道元『正法眼蔵』の「現成公案(げんじょうこうあん)」の巻に見えます。薪は灰になるが、灰が薪に戻ることはない。薪は薪として、灰は灰として、それぞれに前後がありながら「前後際断せり」、つまり前後が切れている、という一節です。生と死についても同じだ、と続きます。もとは「今だけに集中せよ」という処世の教えではなく、ものの在り方についての文章ですが、日常のことばとしては前者の意味で広まっています。
今日の暮らしで
仕事中に「さっきのあれ」「明日のあれ」が頭に浮かんだら、「前後際断」と四文字で切る。切ったあとに残るのは、手もとの作業だけです。莫妄想(まくもうぞう)と並べて使う人も多いことばです。
参考にした資料
- 道元『正法眼蔵』現成公案
- 全国坐禅会マップ「心に響く禅語20選」 https://zazenmap.jp/articles/zen-words/
このページは禅の教義を解説するものではなく、ことばが一般にどう読まれているかを紹介するものです。解釈は宗派や指導者によって異なります。